同グループのトレードマークであり、今年の日本ツアーでも演奏されるのがシューベルトの八重奏曲。
現メンバーも2017年に録音し、ステージともども濃密な名演を展開している。
樫本「グループのDNAにある曲ですが、メンバーの個性が反映されますので、今は我々独自のものができていると思います。作品自体は、各楽器の魅力を引き出していて、1人1人が輝ける場所が確実にある曲ですね」
ライネ「スケールが大きく、各楽章の性格が全く違う作品。この曲も今のメンバーになってどんどん良くなっています。昔はffが多かったのですが、今はppを大切にしていますし、現メンバーはチャレンジングなので、弾き終わってすぐにまたやりたいという気持ちになります」
今ツアーは、細川俊夫の委嘱新作も目玉の1つ。
さらには後期ロマン派の作曲家フーゴ・カウンの八重奏曲というレア作品も披露される。
樫本「細川さんの音楽はカラフルで柔らかく、フランス的な面も和のテイストもあって、色々なイメージができます。ベルリン・フィルと親しい作曲家で、メンバーのこともよくご存知なので、皆の長所を引き出すような曲を書いてくれるのではないかと、すごく期待しています。フーゴ・カウンの作品は、僕が発見してすごい曲だと思いました。ロマンティックで素敵な単一楽章作品で、ベルリンの作曲家という繋がりもあります」
今ツアーの演目は全て八重奏曲。
これは同グループの活動歴が20年を超えるライネも「初めて」とのこと。
樫本も「せっかくの八重奏団なので八重奏曲だけのプログラムをずっとやりたかった。それがようやく実現できます」と語る念願の公演だ。
両者共に「仲の良いメンバーが楽しんでいるのが音楽に表れ、それが聴衆にも伝わると思います」と語る本公演。
愉悦感に溢れた最高級の演奏をぜひ体感したい。
写真 ⓒKeita Osada (Ossa Mondo A&D)